皆様は『pH(ペーハー)』という言葉をご存じですか?
一般的にpHとは、”物質がアルカリ性か酸性か?”を測る基準となる単位です。
そこで、”歯垢の酸性度”をpHを使って表現してみますと、食事の後、お口の中では歯垢が形成され、その中のむし歯菌がつくる”酸”等によって酸性になります。
食事の前はpH6.8ですが、飲食後はpH4から5程度と数値が下がります。むし歯のキッカケとなる数値はpH5.7で臨界pHといいますが、pH5.7以下になると歯のエナメル質の結晶が溶け出し、これを脱灰(初期むし歯)といい、誰でも、毎食後、起こる現象で、『一日の内に何回も溶かされたり、元に戻ったりしている』という状態がお口の中で起こるのです。
pH値は食事の後ゆっくり1時間くらいかけて元のpH値へと戻っていきますが、頻回な飲食、歯磨きの不足、就寝前の飲食などで元の状態にうまく戻らない状態が続くと歯の脱灰現象が固定化されます。
歯の状態や個人差によって程度は違いますが、pH5.7以下の環境で歯が溶かされている時間が長いほどむし歯になりやすいというご理解を頂ければと思います。
それ故、一度歯科医院に通われたことがある方や、学校健診を受けた際に『定期的な歯磨きをしっかり』『食後は絶対歯磨き』、『間食は控えめに』、『歯磨きができなければ”うがい”だけでも』等のアドバイスを歯科医師や歯科衛生士より受けたことがあるかと思いますが、どのアドバイスも『むし歯菌が”酸”を作る前にその餌となる歯垢を取り除くことで脱灰状態を防ぐ』為のアドバイスとなるでしょう。
歯磨きだけではなくフロスの利用を勧められるのも、歯と歯の間に残った歯垢を除去し、その隙間で脱灰が起こるのを防ぐ為なのです。